多層フィルム技術
 
 作業性の向上
接着層のないオレフィン系共押出多層構造からなるフィルムです。そのことにより各層の樹脂設計が可能となり、フィルムに単層では得られなかったさまざまな機能と特色を持たせることができます。 薄肉化と物性の維持・向上を図ることは、軽量物の包装・カバー時に必要とされる作業性の維持・向上にもつながるのです。中間層の密度の高いHDPE(高密度ポリエチレン)は、フィルムに紙のような腰の強さと曲げ弾性力を付与することができます。そのことによりフィルムは自立性が保たれ、軽量化による作業性の向上が図られるのです。
 従来品との 同一性
 安心・安全への配慮
内外層は従来品と同質のL-LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)を使用しています。そのことによりフィルム表面における外観上の相違(透明度、光沢、感触等)はなく、L-LDPEの特徴である良好なシール性にも変わりはありません。また中間層に透明性のあるHDPE(高密度ポリエチレン)を使用しているため、従来品と同じように内容物を確認することができます。 欠点検出機を設置することにより、異物(虫、ゴミ等)の混入をできるだけ避けることが可能となります。また作業環境の整備(エアーシャワー、手洗励行、二重扉等)により、お客様の安心・安全面でのご要望に応えた供給責任が果たせるものと考えます。
 薄肉化への対応
 環境問題への対応
中間層に密度の高い透明HDPE(高密度ポリエチレン)を使用します。そのことによりフィルムの厚みを薄くしても、軽量物の包装・カバー時に必要とされる適度の物性(衝撃強度、破断強度、突刺強度)を持たせることができます。またフィルムのスタンディング性に影響を与える物性(弾性、剛性等)の強化を図ることもできます。 多層技術と中間層の樹脂設計による薄肉化フィルムは、樹脂使用量の削減(最大40%)を可能とします。そのことは資源節約の観点から、低炭素化社会の実現に貢献できる環境問題解決型製品といえるのです。
 
 
 
 
   
  多層共押出機       大型製袋加工機       欠点検出機  
          作業環境 (エアーシャワー・二重扉)          
 
 
 
 
考察1

従来品(単層)においては、フィルムの厚みが薄くなるにしたがって、物性(衝撃強度、破断強度、弾性率、突刺強度)は明らかに低下する傾向(44〜63%※1)にあります。問題は30μ単層品Bに明らかなように、軽量物(ブロー容器、インジェクション成型品等)の包装・カバーに必要とされる最低限の物性を保有しているかという点にあります。特に作業性に影響を与える物性として重要な腰の強さ(曲げ弾性力)がMD、TD方向ともにかなりのレベルまで低下(MD:57%、TD:63%※2)しているという事実は重要であるといえます。

※1 破断強度実測値、弾性率実測値の@に対するBの比率(MD、TDを区別しない最小値と最大値の範囲)。
※2 弾性率実測値の@に対するBの比率。
 
考察2

開発品(多層)においては、透明HDPE(高密度ポリエチレン)の混合比率を高めるにしたがって、強伸度面での物性(衝撃強度、破断強度、突刺強度)は向上する傾向(116〜119%※1)にあります。ここで確認しておくべきことは、軽量物包装用フィルムの必要特性として重要な腰の強さ(曲げ弾性力)がHDPEの混合比率を高めることにより、明らかに向上(MD:118%、TD:119%※2)しているという点にあります。また同じフィルム厚の30μ単層品Bと30μ多層品Eとの比較においても、物性面での優位性(101〜200%※3)があるといえます。

※1 破断強度実測値、弾性率実測値のCに対するEの比率(MD、TDを区別しない最小値と最大値の範囲)。
※2 弾性率実測値のCに対するEの比率。
※3 破断強度実測値、弾性率実測値のBに対するEの比率(MD、TDを区別しない最小値と最大値の範囲)。
 
 
 
結論

多層薄肉化フィルム<軽量タイプ>には、内容物(ブロー容器、インジェクション成型品等)の包装・カバー時における強伸度面での適正な物性(衝撃強度、破断強度、突刺強度)が要求されます。しかしながら重量物の包装時との比較をしますと、そのレベルはいくぶんの許容範囲があるものといえます。むしろ内容物の確認が可能な透明性と、なによりも作業性の維持、向上が図られるフィルムの腰の強さ(曲げ弾性力)が重要であるといえるのです。開発品(多層)においては、中間層を透明HDPE(高密度ポリエチレン)で構成することにより、透明性の向上と適度の物性(衝撃強度、破断強度、突刺強度)を維持することができました。また引張強度(破断強度)が弱くなる傾向にありますが、軽量物の包装・カバーには支障がないものと判断します。いずれにしろ同じ厚みである従来品(単層)との比較においては、すべての物性面での向上が図られており、省資源(最大40%)による環境負担低減の観点に立つならば、この開発品(多層)の優位性は明らかであるといえます。


MDはMachine Directionの略です。
TDはTransverse Directionの略です。
表中の数値は幣社での測定値です。
表中の換算値は実測値を単位面積あたりに換算したものです。
 
 
  FNP02.pdf (5,936KB)